2018年04月05日

新型出生前診断の一般診療解禁に反対する緊急声明


2018年2月21日

公益社団法人 日本産科婦人科学会 理事長 藤井 知行 様

新型出生前診断の一般診療解禁に反対する緊急声明



私たちは、神経筋疾患障害を持つ者で構成している当事者団体です。
2004年、日本産科婦人科学会が「重篤な障害がある場合」の着床前診断臨床応用一例
目を承認する」と公言したことをきっかけに発足しました。
私たちは自らの命の危機と障害を持つ人たちへの偏見につながる「着床前診断」に、
当事者の視点から反対しています。

2018年2月13日、日本産科婦人科学会(日産婦)の倫理委員会で新型出生前診断を一
般診療として認める方針を固めたという記事に驚きと落胆の思いが禁じ得ませ
ん。
昨年も同じ時期に同様の件で声明を提出しておりますし、学会の方にはこれまでも幾
度にわたり当ネットワーク主催の座談会に参加していただき議論をしてきました
が、全く思いが通じていないことに憤りを感じます。

私たちは、これまで学会に対し、繰り返し、進言、提言を行ってきました。それにも
かかわらず、命の選別をさらに進める学会の姿勢が理解出来ません。

障害者の命を明らかに選別しているとしかとれません。障害を持って生まれてくるこ
とがそんなにまでも不幸なことで、人々を恐怖に陥れてしまうことでしょうか。
臨床研究を行うと言った時点でこの一般診療化に移行することは分かっていた事実で
す。

私たちは一つの扉が開いてしまったら次から次へと開いていく怖さを知っています。
それを学会の皆さんは分かっていて、時間稼ぎをしていただけだと感じます。

本当に心から障害のある命もない命と同様であると思っての行動とは残念ながら思え
ません。倫理委員会もどんな人間の倫理観を持って議決しているのでしょうか?

殺されていく命の立場から声を上げます。
命は誰にも冒す事は出来ません。選別している事実を認め「どんな命も歓迎される社
会」を共に目指し、実現するために尽力してください。
ここに、改めて、私たちの考えを表明します。

○新型出生前診断の一般診療化を許しません。

明らかな命の選別を容認する行為です。
安易に中絶を選ぶ人の歯止めには全くなりません。
何故なら、障害のある人達の社会の認識があまりにもネガティヴだからです。そして
同様に障害のある人の人生を知らない医療者が多いので、マイナスなイメージしか家
族や妊婦さんに伝えることができないからです。

障害者の命は、要らない命ではありません。命の価値を認めないことは、究極の差別
です。
また、女性が、何のサポートも無く、子どもに『障害』があることだけを告知され、
産むか産まないかを決断させられることは、多大な精神的負担になります。「障害
者=不幸」という刷り込みを利用して、あたかも女性が検査や中絶を望んでいるかの
ように思わせることは、自己決定のすり替えです。
元来、『生まれてきてもよい生命』と『生まれることが望ましくない生命』を定め、
人の生命の質を選別することは誰にも許されないことです。命の選別を可能にするシ
ステムは、一度動き始めると歯止めがきかなくなります。
いかなる場合でも、命の選別を容認しないでください。

○障害当事者の声を聞いてください。

倫理的に問題があるという声が多くあがる中で、新型出生前診断の一般診療解禁は危
険な一歩です。

また、無認可の診療が増え、結果的に診断を受けたい患者がそこに大量に流れるのを
阻止するという大義名分があるようですが全くナンセンスです。
受けたい患者の阻止ではなく単なる受け皿の増加にすぎません。
誰かの命を犠牲にすることで、社会問題を解決しようとする姿勢に、私たちは強く抗
議します。障害当事者の意見を聞き、誰もが犠牲にならない、なしくずしではな
い真の改善策を求めます。

私たちは、日本産科婦人科学会が、直ちに新型出生前診断の一般診療解禁を阻止、撤
回することを求めます。

【問い合せ】神経筋疾患ネットワーク(自立生活センターくれぱす内
TEL:048-840-0318/FAX:048-857-5161
posted by りえこ at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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